歯が黒い 神経を取った歯の変色
2022.07.12
虫歯などが原因で歯の神経を取ってそのまま置いておくと、時間とともに歯は黒ずんでいきます。
神経を取った歯は痛みを感じないので、知らないうちにまた虫歯になり黒くなっていることもありますが、虫歯にならなくても歯は自然と黒ずみます。
なぜ歯が黒くなるのか
神経を取ると同時に歯の中に血液も循環しなくなるため、残留した血液の成分や変色したコラーゲン等が代謝されず蓄積したままになってしまうからです。
歯はただの硬い塊ではなく、血管も通って生きているのです。
普段の歯科治療において、たとえ深い虫歯になっていても極力神経を残す治療を試みるのは歯の生命維持を目的としているからなのです。
黒くなった歯を白くする方法
では、黒くなった歯を白くする方法はあるのでしょうか?ここでは代表的な2つの方法について説明します。
ウォーキングブリーチ(漂白)をする
歯のホワイトニングと同じ要領で歯を漂白する方法を神経の無い歯に適用する場合には「ウォーキングブリーチ」と呼んでいます。自費診療になります。
通常のホワイトニングと異なり、歯の裏側に穴をあけ薬剤を直接歯の中に入れレジン(樹脂)で蓋をして1週弱様子を見ます。効果が低い場合には再度薬剤を交換して様子を見ます。
治療の痛みは基本的にありませんが、薬剤が漏出すると薬の味がしたり、周囲の歯の知覚過敏が生じたり、また歯肉が白変することがまれにありますので、異常を感じたらすぐに来院する必要があります。
効果は永久ではないので色戻りがあり、将来的に再びウォーキングブリーチをする必要があります。
当院で使用する薬剤は日本では承認されていない海外製品「オパールエッセンスエンドキット」になります。薬剤の準備(入手)に時間がかかる場合、すぐに治療を開始することができないことがあります。
自費診療になり費用は1歯¥22,000(税込)となります。
クラウンをかぶせる
歯を削りクラウンをかぶせ色味を改善する方法です。神経がない歯を削るので、治療中歯のしみるような痛みはございません。歯を削る振動が不快な患者様には麻酔をいたします。
保険適用の「ハイブリッドレジンクラウン(CADCAM冠)」か自費診療の「セラミッククラウン」もしくは「ジルコニアクラウン」をお選びいただきます。
保険適用のCADCAM冠の費用は¥10,000程度で診療回数は最短で2回となります。保険適用の材料を用いるのでご希望の色味に仕上がらない場合もございます。また装着後、経年劣化によりクラウン自体の変色が起こります。
自費診療のセラミッククラウンは¥88,000(税込)、ジルコニアクラウンは¥99,000(税込)となります。ジルコニアクラウンには遮蔽効果があるので黒味が強い場合にお勧めです。診療回数は最短で2回となります。CADCAM冠に比べ周りの歯の色調にあった仕上がりになります。口腔内での経年劣化がほとんどなく、長期にわたりきれいな状態を維持できます。
※CADCAM冠についてはこちらのブログも参考にしてみてください。
※ジルコニアについてはこちらのブログも参考にしてみてください。
※当院の自費診療費についてはこちらをご覧ください。
クラウンをかぶせて改善を図った症例
上の歯3本をセラミッククラウンで修復した症例です。前歯3本ともに神経の処置をした歯です。
セラミッククラウンを作製し装着しました。セラミック表面に着色も加えて周りの歯と調和するように仕上げることができました。向かって右の側切歯は少し斜めに奥に引っ込んでいたので、自然なバランスで形態回復もしました。
黒くなっている程度により仕上がりは異なります。また虫歯が深く進行していたり根の治療が不十分である場合にはウォーキングブリーチやクラウンの入れ替えを適用することが難しい場合もあります。
当院では十分な検査とカウンセリングで治療方針をお決めいたします。