保険の白い歯 CADCAM冠の特徴
2018.11.05
2014年からCADCAM冠が保険導入されて以来、材料の開発、向上が進められ2022年6月時点においては、適用条件はあるものの第二大臼歯を除くすべての歯に適用することができるようになりました。
金属を使わずに保険適用で白い歯ができることは大きなメリットですが、当然デメリットもあります。
CADCAM冠の特徴を簡単に説明しますのでよく理解して選ぶようにしてみて下さい。
CADCAM冠とは
「CADCAM」とは技工物の作り方のことで「Computer Aided Design Computer Aided Manufacturg」を略したものです。
コンピューターが患者様の歯の模型から修復する歯の最適形態をデザインし、さらに3次元切削機が四角いブロックを歯型に削り出し冠を作製します。
CADCAM冠を提供する歯科医院は施設基準を満たし届け出る必要があるので、すべての歯科医院で受けられる治療ではございません。
尚、歯の模型を作る過程は従来通り、お口の中で印象材と呼ばれるガムのようなもので歯型を取り、石膏で模型を作製します。
※口腔内スキャナを用いて歯型を取る方法は未だ保険導入されていません。
材料
プラスチック(レジン)にセラミック粒子を混ぜ合わせたハイブリッドレジンと呼ばれる材料が使われます。
強度
歯のエナメル質よりも軟らかいため、噛み合わせによる摩擦摩耗が起こります。
また、強度を上げるために金属冠よりも削る量を多くして材料の厚みを取るようにしなければならない仕様となっています。
審美性
天然の歯やセラミックに比べると透明感にかけます。色のパターンが限られているのでご自身の歯にベストマッチする色を選ぶことができない場合があります。
また、表面性状が荒いため着色しやすく、吸水性があるため経年的に内部変色が生じます。特にコーヒーやカレー等色素の濃い飲食物を好まれる方では変色がより早期に生じてしまいます。
長期経過・トラブル
長期経過で多いトラブルは脱離、摩耗、変色です。
脱離
冠が割れることはほとんどないのですが、金属冠やセラミッククラウンに比べると外れやすいと言えます。もし外れた場合にはそのままお持ち頂ければきれいにして再装着します。劣化が著しい場合には作り変える必要があります。
※統計では5%程度の症例で脱離が認められ、装着後半年以内に脱離することが多い傾向にあります。
摩耗
エナメル質よりも軟らかいため長期経過のうちに摩耗して噛み合わせが変化することがあります。変化が顕著な場合には作り変える必要があります。
変色
表面性状と吸水性から、初めに表面の艶が消失し、変色や着色を起こします。表面的な着色は磨いて落とすことができますが内部的な変色は磨いても変わりませんので、気になるようであれば作り替える必要があります。
※保険診療では装着後2年経過すればCADCAM冠を作り替えることは可能ですが、審美目的での作り替えは認められておりませんので、審美性以外に不具合がなければそのまま使用して頂くことになりますので注意が必要です。
CADCAM冠を適用できないケース
噛みしめる力が強い場合や、歯ぎしり・食いしばりが顕著である場合には適用できません。
また、歯を削る量が多くなりますので、神経の残っている歯、特に前歯で神経の残っている歯には適用することが難しい場合があります。基本的には神経を抜いている歯に対して適用することがほとんどです。
治療費
装着する部位によって多少異なりますが、削る費用や型取りする費用を含めて約9,000円程度かかります。このほかに初診料や再診料、エックス線検査料等が加算されます。
治療回数
根の治療がきちんと終わっている場合には最短2回で終了します。
既に金属が被っている歯のやり直しの場合、被せの中の虫歯が大きかったり、根の再治療が必要となるような場合にはその分治療回数が多くなります。
症例
左上小臼歯2歯にCADCAM冠を装着しました。
CADCAM冠をご希望の方、もう少し詳しく知りたい方はどうぞお気軽にご来院ご相談ください。