歯肉の境目が黒い 前歯の被せ物
2022.07.11
前歯の被せ物を鏡で見ると歯肉との境目が黒くなってきた・・・。
笑った時に歯と歯肉の境目が黒いと少し見た目が目立ちますよね。
ではどうして黒く見えるのでしょうか?治す方法はあるのでしょうか?
Contents
なぜ黒く見えるのか
金属の影響によるもの
以前の前歯の被せ物(クラウン)は内側を金属で作り、その表面にセラミックやプラスチックを貼り付けて作るのが主流でした。
構造上、写真のように歯の根元の部分はどうしても貼り付ける材料が薄くなり、金属のラインが透けて見える仕上がりになってしまいます。
最初はこの金属が透ける部分に歯肉が被っているのでとてもきれいに修復できたように見えますが、時間とともに歯肉が退縮すると金属の部分が見え始め、やがて金属自体も劣化してくるので黒く見えてしまうというわけです。
ただ黒く見えるだけならともかく、金属はイオン化して歯や歯肉にも浸透してしまうので、余計に黒く見えるようになってしまいます。
特に保険の金属にはイオン化しやすい銀も含まれているため、このように黒い線が見えるようになることが大変多いです。
虫歯によるもの
クラウンを入れた歯の歯肉が退縮すると歯根表面が出てきます。この歯根の部分が虫歯になることで茶褐色もしくは黒く見えることもあります。
歯根はエナメル質という硬い鎧に覆われていないためとても虫歯になりやすいく、また虫歯が広がりやすい部分でもあります。
クラウンを入れたからと言って虫歯にならないことなんてありません。
特に神経を抜いている歯では痛みが出ないため知らないうちに深く進行してしまっていることもあります。
写真のように虫歯が原因でクラウンが脱離してしまい来院される患者様も少なくありません。
黒くならないようにするには
「金属を使わない」ことと「虫歯にならない」ことです。
前歯のクラウンは、現在保険診療で「CADCAM冠」と呼ばれる金属を使わない「ハイブリッドレジン」と呼ばれる材料で作ることが可能となりました。費用は3割負担で¥10,000程かかります。
また、神経を抜いた歯に埋められる「コア(土台)」についても保険診療で金属を使わない「レジンコア」や「ファイバーポスト」を作ることが可能となっています。費用は3割負担で¥1,000程かかります。
虫歯にならないためには「丁寧によく磨くこと」、「定期的に歯医者でチェックとクリーニングを受けること」です。ただ力を入れて磨きすぎては余計に歯肉を退縮させるので要注意です。やさしく丁寧に磨くようにしましょう。
保険のクラウンは材質的に傷つきやすいため、プラークもつきやすく、着色もつき変色してしまう欠点があります。できればプラークもつきにくく丈夫で耐久性の優れた「セラミックラウン」を入れるとより長い間きれいでいられると思います。
※CADCAM冠の特徴についてはこちらのブログもご覧ください。
※当院の自費診療費についてはこちらをご覧ください。
境目の黒さは治せるのか
クラウンを(必要であればコアも)取り換えることで改善することができる場合があります。
改善が見込める場合
虫歯がほとんど進行しておらず、歯肉の着色もない場合は比較的満足のいく改善が見込めることが多いです。
初回の治療でクラウンを(必要であればコアも)外しきれいに整えた後型どりをして、2回目の治療で新しいクラウンに入れ替えます。
新しいクラウンが入るまでの間は仮歯(テンポラリークラウン)がはいるので前歯がなくなる心配はありません(保険診療でもテンポラリークラウンを入ることができます)。
※クラウンを除去する際、神経のある歯であれば麻酔をして行います。神経の無い歯でも削る振動が苦手な方には麻酔をします。
改善が困難な場合
除去できない深いコアが入っている場合や、歯肉が着色してしまっている場合には満足のいく改善は難しいでしょう。
金属コアが入っている場合にはジルコニアクラウンを入れると遮蔽効果によりきれいに修復することができる場合もあります。
歯肉の金属着色はピーリングを行っても除去することができません。
治療例
上顎前歯には保険のクラウンが入っていました。
虫歯の進行はほとんどなく、歯肉への金属着色もまだありませんでしたのでオールセラミッククラウンで修復しました。
セラミックには自然な透明感がありますので周りの歯ともうまく調和させることができました。
保険の「CADCAM冠」については適用している歯科医院とそうでないところがあります。
当院では前歯、臼歯いずれの「CADCAM冠」も取り扱っており作製することが可能です。
丁寧にカウンセリングをした後治療方針を決めていきますので、いきなりセラミック前提で治療を進めていくことは決してございませんのでご安心ください。
ご興味のある方はお電話またはネットでご予約の上お気軽にご来院ください。