歯と歯の間にものがつまる、しみる:隣接面のむし歯
2020.10.30
歯と歯の間にものがつまりやすく、冷たい水や甘いものがしみる症状がある場合、まず初めに考えられるのは歯と歯の間(隣接面)のむし歯です。
歯の表面にできるむし歯とは違いご自身ではなかなか見つけにくいものです。
歯の隣接面にむし歯で穴が開く、もしくは表面が粗造になるので、歯と歯の間に余計にものがつまりやすくなります。
フロスを入れてみて引っ掛かりを感じるようだとむし歯ができている可能性が高いかもしれません。
初期むし歯のうちに見つけることができれば、むし歯を削りコンポジットレジンと呼ばれる材料を充填して治せる可能性も高くなります。保険診療で1回で終わる治療です。
極初期のむし歯であれば治療をせずに、歯間ブラシやフロスを用いて丁寧に歯みがきをするように心がけることでむし歯の進行を止めるもしくは緩慢にさせることができる場合もあります。
逆に、あまりむし歯を放置してしまうとその分歯を削る量も多くなり、コンポジットレジン充填で修復することが難しく、金属やセラミックスをつめなければならなくなります。そうすると治療回数も多くなりまた診療費も(特にセラミックスは自費診療となるため)高くなってしまいます。
むし歯かなと気になるようでしたら早めの受診をお勧めします。
【治療例】
前から4番目あたりの上の歯にものがつまりやすく水がしみるということで来院した患者様。
写真を撮ってみると前から(下の写真の左から)4番目と5番目、小臼歯と呼ばれる歯と歯の間が黒くなっているように見えます。
ご自身で観察すると明るさの問題もあり、この写真よりもかなり見づらく感じると思います。
拡大して見ると、左の歯(第一小臼歯)の隣接面は白濁しており、右の歯(第二小臼歯)の隣接面は明らかに黒く透けているのが分かります。
レントゲン写真からは象牙質に達するむし歯が認められましたが神経まではまだ距離があり、虫歯を削りコンポジットレジンを充填して治せると判断しました。
コンポジットレジン充填で治せれば型どりをする必要もなくなり、また治療も1回で終わりにすることができ、保険診療内で行えます。治療をする際に麻酔を使わなければお帰り頂いた直後からお食事を召し上がっていただくことも可能です。
う蝕検知液と呼ばれる薬でむし歯の部分を染めながら、慎重にむし歯だけを削っていきます。コンポジットレジン充填の最大のメリットは金属やセラミックスをつめる治療とは異なり、削る形にこだわる必要がないため削る量を最小限にとどめることができることです。
むし歯を削った状態が下の写真になります。
第一小臼歯の黄色く見える部分はう蝕検知液に染まらない健全な部分であるため削る必要はありません。見た目よりも内部に深く進行していましたが、この程度であればコンポジットレジン充填で直接修復することが可能です。
コンポジットレジンを充填し治療を終えました。
保険診療で用いられるコンポジットレジンにも当然デメリットはあります。
「経過とともにすり減る」ことや「変色が起きる」こと、「表面性状が荒いので汚れがつきやすい」こと等です。
また強い力がかかると欠ける場合もあります。しかし、コンポジットレジンが劣化したり欠けたりした場合でも、お口の中で盛り足したり修復し直すことができるのもコンポジットレジンのメリットと言えます。
むし歯のできた場所や大きさ、また進行度合いによってはコンポジットレジンを適用することができない場合もあります。
むし歯できたりあやしいと感じたときは早めの受診を心がけてください。