歯の急なしみる痛み:歯の破折
2017.09.01
冷たい水や熱いお湯が急に歯にしみて痛むようになる時がありませんか?しばらく歯医者から遠ざかっており虫歯が進行してしまった場合や、歯周病の進行により知覚過敏が生じている場合が多いのですが、噛みしめ(歯ぎしり、食いしばり)が強かったり歯の噛む面に部分的な金属の詰め物をしている方は要注意です!もしかしたら歯が割れて(破折して)しまっている場合があるからです。
痛みを感じるということは何かしらの変化が起きている証拠です。歯や歯肉に痛みを感じたら、ひどくなる前にまずは一度歯医者を受診することをお勧めいたします。
<治療例>
1週前から急に左上の一番奥の歯がしみて痛むようになったとのことで来院された患者さんです。これまでに同じような痛みを感じたことはなかったとのこと。口腔内を審査しましたが、歯肉が腫れていたり赤くなっていることもありませんでした。歯磨きも上手にできていました。また銀の詰め物がしてありましたが周りから虫歯が進行している様子も認められませんでした。レントゲンを撮影しましたが、骨が異常に吸収してしまっていたり、白く写っている詰め物の下に虫歯様の黒い影も認められませんでした。
しかし、歯と歯肉の境目に沿って空気を吹き付けていくと、手前の歯との間の部分にとても強い刺激(痛み)を感じることがわかりました。部分的な金属の詰め物がされていたこともあり歯の破折が疑われたので一度詰め物を外して精査することにしました。
金属を外した写真です(ミラー像なので反転しています)。
一見わかりづらいのですが拡大してよく観察すると、細い白い線が手前の歯の隣り合っている部分から歯の中央部にかけて走っているのが認められました。これが歯の破折線です。
この破折線から刺激が神経に伝わって痛みを惹起していたようです。幸い破折線が入ったばかりのようで完全に歯が2つに割れている状態ではなかったので、神経を抜く治療をしたのち破折部を修復し、冠を被せて再度痛みなくものを噛める状態に戻すことができました。
今回歯が破折した原因は、患者さんの噛みしめが強かったことに加え、部分的な金属の詰め物のくさび効果によるものであると考えられました。金属の詰め物すべてが悪いというわけではありませんが、時として歯を破壊してしまう凶器にもなりうるということをご理解ください。
詰め物をした歯に痛みや違和感がある方はなるべく早めの受診をお勧めします。ご予約はお電話もしくはネット予約で承ります。