詰め物が取れた:放置しておくと・・・
2024.04.23
歯の詰め物が取れてしまった時、痛みがあったり、前歯で見た目に支障がある場合には早期に歯医者を受診することが多いでしょう。
一方、すでに神経を抜いてしまっている歯の場合はしみることもありませんし、特に奥歯の場合は見た目も気になりませんのでしばらくそのままにしてしまうこともあるのではないでしょうか。
ただし、ついうっかり数年間放置してしまうと実は大変なことが起こっている場合もあります。
今回御紹介するのは、右上奥歯の被せ物が取れてしまった患者様です。すでに取れてから数年が経過しているとのこと。最近臭いも気になるようになったとのことで来院されました。
結論からお話しするとすでに保存できる状況ではなく、抜歯を考えていただくことになりました。
こちらが初診時のレントゲン写真です。
向かって左から2番目の右上顎第2大臼歯(右上7)の歯冠が崩壊しているのがわかります。
このレントゲンでは少しわかりにくいので、患者様の了承を経てCTを撮影しました。
CT画像にすると立体でとらえることができるのでとても分かりやすいです。
右上7の歯冠は崩壊し、根が割れてしまっています。また、放置した結果細菌感染を起こし、あごの骨が溶けてしまい根の部分の骨に丸い穴が開いている様子が見られます。
詰め物が取れた後に虫歯になって根が割れてしまったのか、それともすでに根が割れていて詰め物が取れてしまったのかどちらとも言えませんが、もっと早く受診していればもう一度詰め物をして歯を救うことができたかもしれません。
実際には歯肉が骨を覆っているので骨に穴が開いているのを見ることはできませんが、実は大変恐ろしいことが起こっていたのです。
抜歯をすれば溶けてしまった骨はある程度回復するのですが、この後歯を入れるとすると部分入れ歯かインプラントを選択しなければならなくなりました。
このように、「痛くないから、目立たないからまあいいか」はとても危険な場合があります。
いつまでもご自分の歯で楽しく食事ができるよう、歯は大事にしてください。